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第1回一帯一路東京フォーラムを開く 7項目の「東京宣言」を採択

G20大阪サミットを前に開催 一帯一路日本研究センター(BRIJC)は6月15日、東京・内幸町の日本プレスセンターで「変貌する世界と一帯一路の展望」をテーマに第1回東京フォーラム開催しました。 6月下旬のG20大阪サミット開催と中国の習近平・国家主席来日という重要行事を前にしたタイミングでした。中国から来日したパネリストらも含め、100人以上の参加者と報道関係者が出席しました。 以下に概要を報告します。 「ガバナンス強化に日本は協力を」 進藤栄一BRIJC代表の開会挨拶の後、来賓の谷口誠・元国連大使のスピーチがあった。谷口氏は「G20サミットに意見を反映させるためにもサミット直前の開催は素晴らしい」と指摘した上で、次のように述べた。 「現在の世界は分断と分裂、混乱の時代を迎えている。単に米国のトランプ政権の責任ではなく、欧州もそんな時代に入っている。グローバリゼーションの中で一つの限界に突き当たっているのだ。経済協力開発機構(OECD)の報告によると、2060年の世界ではアジアの時代が到来するが、日本の経済規模は世界7位に落ちている。しかし、一帯一路を利用することによって日本が一つの秩序を創る突破口が出来てくる。一帯一路はいろいろな所でヒッチが起きているが、日本が協力してグローバル・ガバナンスを進めていけば、アジアの未来になっていく。日本はアジアインフラ投資銀行(AIIB)にも加盟し、中から改革を進めていくべきだ。日本が真剣にやっていくなら、間違いなく21世紀はアジアの世紀になる」 中国からのパネリストも熱弁 続いて行われたパネルⅠは、「一帯一路構想から21世紀グローナルガバナンスの道—『債務の罠』論を超えて」がテーマとなった。 中国人民大学教授の王義桅氏は「一帯一路に対して欧州諸国は前向きだが、日本はまだ迷っており、前向きとは言えない。しかし、一帯一路は経済協力の枠組みであり、日米同盟と矛盾しないことを分かってほしい」「世界銀行によると、一帯一路によって世界貿易のコストが1.1%下がったと言われる。世界各国にチャンスを与える枠組みだ」と、述べた。王氏は『習近平主席が提唱する新しい経済圏構想「一帯一路」詳説』と題した著書もある中国きっての一帯一路研究者である。 その次のパネルⅡは、「日中第三国協力をどう進めるか—日中相互連携の道」をテーマに討論した。 中国銀行の元副総裁で、シルクロード都市(丝绸之路城市)研究院名誉院長の張燕玲氏は、中国の1970年代の改革開放の歴史と日中の経済協力の歴史に触れながら、「40年余り前の中日の素晴らしい協力を今、一帯一路をめぐって再現したい」と述べた。また、「もし、アジアでまた金融危機が起きたら、外貨準備を多く持つ中日両国が協力して対応し、アジアの金融安定に責任を持つべきだ」と提案した。 「債務の罠」論で討論 その一方、環日本海経済研究所(ERINA)代表理事・所長で東大特任教授の河合正弘氏は、国際社会で議論を呼んでいる「債務の罠」に言及した。「中国は相手国の返済可能性についてあまり気にしないように思われる。万一、資金が返ってこない場合、港湾などの実物資産を押さえて、何とかするアプローチを取っていると思われる。しかし、民間同士ならともかく、国家が借り手で貸したものが返ってこない場合、債務の再編や削減するパリクラブの国際ルールがある。それを重視する方向に行かないと、反発される」と指摘した。 その上で、「AIIBは事業の事前評価、事後評価などしっかりした業務をしており、一帯一路もAIIBのようにしていくのが重要だ。日中の第三国協力もいろいろ進めるべきだが、日本は経済性、透明性、開放性、持続可能性といった4つの条件を挙げている。6月8、9日に福岡市で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議では『質の高いインフラ投資に関するG20原則』が承認された。これには社会的、環境面の配慮をすることが盛り込まれ、中国も支持した。インフラ協力はG20原則に従って進めていくのが望ましい」と述べた。 また、日中経済協会専務理事の杉田定大氏は「日本は東南アジアを中心に政府開発援助(ODA)で長い経験があり、多くの教訓を中国と共有できる」の述べた。そして「第三国協力は、インフラについては今まで競争相手だっただけに簡単ではない」としながらも、環境技術など産業協力を進め、中欧班列も積極利用していくべきことを指摘した。 一方、多数国投資保証機関(MIGA)の元長官の井川紀道氏は「日本は債務の罠が深刻化しないよう、一帯一路の金融ガバナンスの強化に多面的に協力していく必要がある。日本はもう少し一帯一路の受益国、関係国に国際的コミュニティーが建設されることについてオープンな視点を持っていくべきだ」と述べた。特に、中国が「債務の罠」批判に対応し、過剰融資を防ぐ分析の枠組みを世界銀行・国際通貨基金(IMF)との調整を経て整えたことを報告した。さらに、中国がケニアに建設した鉄道が持続可能な開発目標(SDGs)にも配慮していたことを紹介し、「これには英国政府の協力も良い影響を与えた。日本も英国のやり方を参考にすると良い」と述べた。 この後、「アジアダイナミズムに向き合う日本」と題し、日本総合研究所会長で多摩大学学長の寺島実郎氏の講演があった。 最後に、「一対一路東京フォーラム・2019東京宣言」7項目=別表=を採択し、閉会した。(竹内 幸史記) プログラム等は 開催概要 まで

『一帯一路の現状分析と戦略展望』JST中国総合研究・さくらサイエンスセンター発刊

2019年6月中旬、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 中国総合研究・さくらサイエンスセンター (CRSC)の委託によりとりまとめた『一帯一路の現状分析と戦略展望』が発刊されました。 <執筆者一覧> 進藤榮一、河合正弘、朽木昭文、大西康雄 朱炎、趙磊、井川紀道、張燕玲、李瑞雪 徐一睿、唱新、小島末夫、大塚夏彦、周瑋生 万碧玉、後藤康浩、中川十郎、范云涛 渋谷祐、劉桓 以下のリンクよりpdf版を入手できます。(JSTサイトへリンクします) https://spc.jst.go.jp/investigation/report_2019.html#01

グローバルタイムズ紙掲載>進藤英文インタヴュー記事

進藤榮一インタビュー記事紹介します。 Editor’s Note: Relations between China and Japan have been largely back to the right track, yet still encountered some obstacles in the past few years. Global Times (GT) reporter Wang Wenwen interviewed Tsukuba University Professor Emeritus Eiichi Shindo (Shindo), head of the International Academic Society for Asian Community and the Belt and Road Initiative… Read More »

[論稿]「一帯一路」は「債務の罠」ではない(現代の理論)<唱新>

▪️現代の理論 2019春号▪️ 「一帯一路」は「債務の罠」ではない 経済効果は期待されるが米中間で揺れる日本政府の対応 福井県立大学教授 唱 新 1.「一帯一路」とはなにか 2.「債務の罠」論のパラドックス 3.ハンバントタ港の真相と中国の教訓 4.「中パ経済回廊」(CPEC)の経済効果と政治的リスク 5.むすびにかえて-日本の対応 中国の「一帯一路」構想はインフラ開発や産業育成援助の面で、途上国のニーズに合致し、経済成長に寄与することが多くの途上国から支持・期待されているものの、日米欧などの先進国では賛否両論で、疑問視する声も少なくはない。こうした中でとくにアメリカ発の「債務の罠」論は「一帯一路」構想を批判する論拠とされている。しかし、その実際の実施状況からみて、「債務の罠」論は事実とは異なるパラドックスだといわざるを得ない。ちなみに本稿は「一帯一路」政策の進捗状況からその経済効果を考察したい。 さらに続きを読む(現代の理論サイトへリンクします)