コラム:一帯一路構想と日本―地政学と地経学を繋ぐ地技学的観点からの考察 山本武彦

投稿者: | 2018年1月26日

帯一路構想と日本―地政学と地経学を繋ぐ地技学的観点からの考察
早稲田大学名誉教授・山本武彦

中国の提唱した「一帯一路構想(BRI)」について、中国の世界戦略の一環として地政学的観点からレアル・ポリティークの文脈で語られることが実に多い。確かに、この文脈から大国の追求する地戦略(geo-strategy)の認識枠組みをBRIをめぐる大国間関係に適用したほうが、分かりやすい印象を与える。筆者は従来から地戦略(geo-strategy)=地政学(geo-politics)+地経学(geo-economics)という公式を立て、国家の追求する地戦略の全貌を解析するための分析方法の一つとして重きを置いてきた。その際、地政学と地経学を繋ぐ連繋(linkage)概念として地技学              (geo-science and technology)という概念を当てはめ、国家の地戦略の方向性を占う媒介変数と位置付けてきた。BRIがアジアから中東を経て西欧に連なるユウーラシアを貫通するインフラ構築を志向するなら、この構想に地技学的関心が注がれることは避けられない。

日本がインフラ構築の技術面で比較優位を失ったわけではないとするなら、BRIに相乗りすることで地技学的にこの構想を下支えする可能性が高いことは言うまでもない。従って日本のBRI参加に伴う地戦略的な利益は、参加しないまま失う地戦略的な損失を遥かに上回るであろう。こうした認識に基づいて、日本のBRI参加を前提にした地戦略的な相互作用が生み出す可能性を分析する。